学生資格剥奪

学生という身分も今日で終わってしまう。ヌルヌルと人と会うことなしに一人の日常の中で迎えることになるとは思っていなかった。

 

物語に登場する学生がそうであるように、生きることに困ることはなく、交換可能な毎日を当てずっぽうに過ごす。村上春樹が描くほどは、空でもないし受動的でもないけど、心のどこかはずっと暇だったような気がする。暇を持て余すことなく、暇を暇として存分に楽しんだ感じはする。オレンジ色の砂漠も見たし、蛍光緑のオーロラも見た。いろんな考えを知ったし、いろんな人に会った。これからもきっと仲良くしていれる友達もできたし、めちゃくちゃ尊敬する人もできた。

 

節目があるといいことは、今までにあった嫌なこととか辛いこととかそういうのがいったん精算されて成仏されることなんではないかと思う。嫌なこととかもそれなりに覚えておくタイプだけど、今となってぼんやりと、なんならあったかいような思い出になっている。今なら、本気で出会った全ての人や景色、モノに感謝できそう。

 

なんかもっといろいろ思うのかと思ったけど、意外とそんなこともなく、極々自然に終わるもので拍子抜けする。学生と名乗れなくなるのは寂しいし、学割を手放すのは惜しい。私のシェルターこと本郷の森から離れ、高いビルの街に巣つくのは緊張するけど、きっと大丈夫だろう。

 

もう一回、ボードゲームして夜更かしして遊びたかった。

明日から、ちょっと派手だけど気に入った名刺入れ持って頑張る。